こんばんは。六〇屋(ろくまるや)でございます。
先程「行列が出来る法律相談所」というテレビを見ていたら、ある弁護士の方が、お子さんの1歳のお誕生日にお餅を背負わせて歩いているシーンがありました。
この儀式のことを知らない人も多かったようなのですがこれは昔から日本で行われてきた立派なお祝いの風習です。

ようやく赤ちゃんがハイハイから立ち歩きをはじめる頃、1歳の誕生日に、一升分のもち米で作ったお餅を担がせ、子どもを歩かせるこの風習を「一升餅」といいます。

弁護士さんのお子さんは、ヨチヨチ一生懸命お母さんの方に背負いながら歩いていましたね^^

皆さんは、この「一升餅」という風習についてどれくらいご存知ですか?

人間の「一生」と餅の「一升」をなぞらえて、「一生(一升)食べるのに困らないように」という意味を込め、子どもが1歳を迎える誕生日に背負わせて歩かせる風習のことを「一升餅」と呼び、古来より家の行事として行われてきました。

また、お餅が丸いことから「一生丸く、円満に長生き出来るように」という願いも込められています。

昔の日本には、記念日や誕生日を祝うといった風習がありませんでしたが、一年目である初めての誕生日は、家庭の祝い事として一升餅の行事が行われていたようです。毎年の誕生日よりも、この1歳の行事の方が重く扱われていた話もあります。

蒸してついたお餅は約2キロにもなりますので、1歳の赤ちゃんには、なかなかきびしい重さです。
多くの場合が、ハイハイしたり動けなくなったり泣いてしまったりと、そうそう立って歩くことはままなりません。

ただ、これは歩けたら縁起が良い、という意味でもなく、半分大人の遊びのようなもので、背負えずに尻もちをついてしまった場合には「厄を落とす」という意味で喜ばれたり、早く歩き出すと家元を早く離れてしまうという意味にも取られ、わざと転ばせる前提でお祝いされたり、一升餅は地方別、また各家庭の特色が顕著にみられるお祝いでもあります。

ざっと調べただけでも、「立ち餅」「立ったら餅」「転ばせ餅」「転ばし餅」「転び餅」などと呼ばれ、同じお祝いでも「立つ」と「転ぶ」がそれぞれ含まれているところがおもしろいですね。

一升餅のお祝いについてはこちらの記事に詳しくあります。
一升餅で還暦祝い

実はこの「一升餅」は、1歳の誕生日と同等、赤ちゃんに還るという意味から「還暦祝い」にも用いられています。

還暦は、干支が60年で一巡し、生まれた年の干支に戻るという意味です。「本卦還り(ほんけがえり)」とも呼ばれ「暦(こよみ)が還(かえ)る」という文字からもわかるように、赤ちゃんに戻る意味から、第二の人生の始まり、最初の長寿のお祝いとして61歳の誕生日を迎えた際にお祝いをします。(還暦は本来数え年のお祝いですので61歳)

1歳の誕生日でも、その60年後の誕生日でも、お餅でお祝いをするんですね。

長寿祝いの場合は、紅白のお餅を使用し、「餅」と「持ちがいい」や「長持ちする」に言葉を掛け、さらなる長寿、長生きしてほしいという願いを込めてお祝いをします。お祝いに与った家族は、縁起の良いそのお餅を分け、長寿のご利益を授かるよう皆で食べてお祝いをします。

還暦の意味についてはこちらに詳しく書いてあります。
還暦祝いのQ&A|還暦って何だろう?

みなさんもお正月以外にもお餅でお祝いしてみてはいかが?